アーカイブ:2018年9月

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いいんじゃないの

うんこはくさくて いいんじゃないの
そらはくもって いいんじゃないの
いのちはうまれて しぬんじゃないの
あめにまけても いいんじゃないの

きんはたかくて いいんじゃないの
かえるはけろけろ いいんじゃないの
あいはただでも いいんじゃないの
やきもちくろこげ いいんじゃないの

くろでもしろでも いいんじゃないの
あっちかこっち いいんじゃないの
じぶんできめれば いいんじゃないの
いいんじゃないので いいんじゃないの

いいんじゃないのは よくないよ
そんなこえが きこえてくるよ
いいんじゃないか それもまた

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日本と私

私は東京信濃町の慶應病院で生まれたそうだ
そこは日本という国の一隅だったらしい
赤ん坊のころは日本語ではない喃語というのを喋っていたが
長じるに従って日本語を喋るようになり
やがては日本語を読んだり書いたりするようになって
有難いことにそれで暮らしが立つようにもなった

日本が好きかと問われることがあるが返答に困る
八〇年以上住んでいる阿佐ヶ谷界隈には愛着がある
母語の日本語は年取るにつれて好きになってきた
好きになった女性はみな母語が日本語だった
風景で好きなところはいっぱいあるがこれは日本に限らない
国会議事堂あたりに漂う日本(にっぽん)は好きになれない

私が日本人のひとりであることは疑えないが
生き物として私は日本人である前に哺乳類として分類される
と そんな呑気なことを言っていられるのも
私が兵士やテロリストになる運命を免れているからだろう
これからの日本がどうなるのかと思うことはあるが
どう出来るかを思うと自分の力不足を痛感する

 

※( )で「にっぽん」とルビが振られているところ以外の「日本」の読みは、「にほん」。
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アンダンテ

いきなり胸がいっぱいになった
朝のラッシュの電車
つり革につかまって人にもまれて
嫌なことを忘れたい私
イヤフォンを耳に突っこんで
そこへあの弦楽のアンダンテの
メロディーとハーモニーの
思いがけない不意打ち

心の地下水にさざ波が立った
この感情を哀しみと呼びたくない
哀しみよりもっと深いところにある源から
むしろ快い涙が滲み出て
私は化粧を直すのも忘れていた

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