アーカイブ:2015年5月

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ホームページに書き下ろすことの是非

原稿を書いて、あるいは打って、それをプリントして、あるいはデータのまま郵送やファックスやメールで編集者に送ると、やがて雑誌に掲載され、ゆくゆくは本になる――という過程が揺らいでいる、というか作者が書いたものを読者に届ける方法が多様化しつつある。

何度も見直して手を入れて、もうこれ以上いじらないほうがいいと判断した、いわば書き終えた新作を、まずこの俊太郎.comでランダムに発表していこうかと考えている。将来の書籍化も念頭に入れて。

新作をまずホームページで公開することの是非について、読者の意見を訊いてみたい。〈いいね〉が多かったら始めるつもり。 (俊)

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【スタッフからちょっと補足】
これまでにも、不定期で「立ち話」に詩をアップしていましたが、今後、より定期的に新作をこのホームページ上で発表してみたらどうだろう?という、俊太郎さんからの提案です。すべて無料公開の予定です。

じゃあもう紙の本は出さないのか?というと、そういうことではなく、やっぱり本という形でしか表現できないものもあるんじゃないかな、というのが俊太郎さんの今の時点での意見でした。

「新作をホームページ上で発表することについての是非」について、5月末頃までをめどに、みなさまのご意見・ご感想をお待ちしております。個別にご返信できないのが大変心苦しいのですが、お寄せいただいたご意見はしっかり確認して、俊太郎さんにも見てもらいます! ツイッターをやっている方は、@ShuntaroTあてにメッセージをどうぞ。(スタッフ)

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第5回いのちフォーラムin鳥取

からだぐるみ

昔ね、と言っても子どもだったころじゃないけど、ハスキーヴォイスの女性に会ってね、ほのかな恋心を抱いた。しばらくしてまた会ったら、普通の声になってた。ポリープ取ったんだって。で、恋心は消えた。色気のある声、ない声ってあるよね、人によって好みは違うけど。視覚と違って聴覚は触覚的なんだ。臨終のあと最後まで残るのは聴覚なんだってね。大声で泣かれたりするとうるさく感じるらしい。気をつけよう。

活字で読んでよく分からなかった詩が、声で聴いたら腑に落ちたということがある。言葉は意味だけじゃないのものがひそんでいるんだね。耳元で囁くってのは昔の恋の手練手管のひとつでしょ。そんな経験はなくても、大人が赤ん坊をあやす喃語、「よしよし」とか「ちょちちょちあばば」とか、あれが人間の言語経験の始まりだもんね。言葉はもともとからだぐるみのものなんだ。 (俊)

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5/16(土)に、第5回いのちフォーラムin鳥取「声のスキンシップ」にて、阿川佐和子さんと対談しました。この文章は、その会のために作られたパンフレット「声のスキンシップ みどころ集」に収録された文章です。

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6/15(月)対詩ライブ開催!

みなさんこんにちは。
俊太郎さん出演のライブのお知らせです。

ライブはライブでも、今回は「対詩ライブ」。
詩人の覚和歌子さんと一緒に、数行ずつ交代で一編の詩を書きあげます。
ライブでの対詩制作は、世界でも初めての試みなのだとか!
今年4月5日に非公開で実施、2回目となる今回は、一般公開イベントとして開催されます。
もちろん、ぶっつけ本番、真剣勝負の生ライブ!
目の前で詩が生まれていく、この貴重な機会をぜひお見逃しなく。

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「谷川俊太郎×覚和歌子 対詩ライブ vol.2 」
出演:谷川俊太郎、覚和歌子
日時:2015年6月15日(月)
開場18:00、開演18:30、終演20:30
会場:d-laboミッドタウン http://www.d-laboweb.jp/space/midtown/
定員:40名(定員になり次第〆切り)
料金:2000円
※料金は事前に指定の口座にお振込ください。指定口座は申し込み受付時にお知らせします。振込手数料はお客様のご負担となりますのであらかじめご了承ください。
主催:オブラート
お申し込み、お問い合わせ:info@oblaat.jp

たくさんのお申し込み、ありがとうございました!
定員に達しましたので、募集を締め切りました。

(スタッフ)

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映画「きみはいい子」

社会の基本であるスキンシップを伴なう1対1の人間関係が、それを取り囲む1対多の人間関係に、知らず知らずのうちに侵されている。この映画はエンドマークで終わらない。 (俊)

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映画「きみはいい子」
監督 呉美保
原作 中脇初枝『きみはいい子』(ポプラ社刊)
出演 高良健吾、尾野真千子、池脇千鶴、高橋和也、富田靖子他
*2015年6月27日よりロードショー
http://iiko-movie.com/ 

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人格

前橋での朔太郎忌で対談することになって、萩原朔太郎について考えているうちに、〈詩人格〉と〈俗人格〉という言葉を思いついた。一人の人間の人格が、分裂しているわけではなくて混ざり合っているイメージ。朔太郎は詩人格99%、俗人格1%の男だったと思う。

俗人と言っても軽蔑して言っているわけではない。普通の生活者のことを、詩人と対照的に俗人と言っているだけ。今どきの詩人はほとんどが教師とかフリーライターとかの正業で生活している。中には詩人格5%、俗人格95%の人だっているかもしれない。

自分のことを言うと、詩を書き始めたころは現実の暮らしをどうするかが大変だったから、詩人格が低かった。今は暮らしに余裕があるし、詩を書くのが楽しくなってきてるから、詩人格と俗人格が半々くらいかなあと言ったら、対談相手の三浦雅士さんが何故かゲラゲラ笑い出した。 (俊)

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引き出し、始めます。

詩作のほかに、日ごろからさまざまなジャンルの本の帯コメント、
映画の推薦文などを書く機会も多い俊太郎さん。
「引き出し」では、俊太郎さん執筆のコメントとともに、
おすすめの映画や本を紹介していきます。
不定期更新となりますが、どうぞお楽しみに!(スタッフ)

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