アーカイブ:2012年12月

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羽田の朝

朝6時半、快晴、羽田空港内のホテル、正面に陽光を浴びている管制塔、その遥か彼方に雪をかぶった富士山、目の下の高速道路をもう車が絶え間なく行き交っているが、音は聞こえない、まるでフルカラーのサイレント映画を見ているようだ。と思ったとたん、ウエストバッグからiPodタッチを取り出して、ムービーのボタンを押していた。

我が家での朝とはまったく違う風景、見過ごしてしまうのはなんだかもったいないような気がするのは、ここが日常とはちょっと違う場だからか。曇っていたらおそらくこんな気持ちにはならなかっただろう。天文学的には太陽も無数の星の一種なのだろうが、今朝はそうは思えない。太陽を拝む古代人の心が、自分の中に残っているのが快い。

デスクでこれを書いている背後で、目覚ましが鳴った。日常がもどってきた。これから札幌だ。雨男の私に恵まれたこんな朝に感謝。(俊)

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「ポエメール」特別展示@竹尾見本帖本店

6月から11月まで、毎月1回、読者の皆さんのポストに
郵便でお届けした、谷川俊太郎さんの「ポエメール」。
皆様からの温かい声援を受けて、先日、無事に全6回の配達を終えました。
いっしょに楽しんでくださった皆様、ありがとうございました。
そして、「買えなかったよー!」「実物見たかったのにー!」と思っていた方、
たいへんお待たせいたしました、朗報です!

このたび、用紙協力をしてくださった竹尾さんのご厚意により、
竹尾見本帖本店2Fで、「ポエメール」の全点展示が実現の運びとなりました。

担当のAさんが、美しくケース展示に仕上げてくださっています。

じゃーん!

…ちょっと遠かったですね。
もう少し近寄ってみましょう、じゃーん!

「ポエメールってなんですの?」という方にもすぐわかるように、
企画概要がコンパクトにまとめられています。

ではちょっと、ケースのほうにも寄ってみましょう。
1つのケースには、その月に送られたポエメールが
すべておさめられています。

たとえば、こちらは9月のポエメールのケース。
こうやって、改めて見ると…ぎゅうぎゅうですね…!

色折り紙の裏には、詩が印刷されています。
その下にさりげなく並べられている模様入りの折り紙の柄は、
谷川さん私物のかわいいハンコや、ポエメールのデザインに使用した
活版の古い記号などで作られたオリジナル柄。

こちらの鶴にもご注目を!
「俊」マーク入りレア折り紙です。

こちらは最終回のブックカバー。
6月から11月までの封筒の柄を、そのままカバーに仕立てました。

各ケースには、使用された用紙の詳細も、コメントでしっかり紹介されています。
こちらは、10月のポエメールに使用された用紙の詳細(一部)です。
なんともゴージャス!


そして、さすがはおもてなしの竹尾見本帖。
来場した方に、より楽しんでいただくための準備も万端です。

・ポエメール実物を手にとってご覧いただけます
実物をもっと間近でご覧になりたい方、
手ざわりを確かめたい方は、ぜひカウンターのスタッフにお声がけください。
ケースのなかに入っているものと同じ実物を、その場で閲覧できます。
ポエメールに入っている谷川さんの詩は、
まだ詩集には収録されていない「未刊行」の詩ばかり。
この機会に、ぜひどうぞ。

・谷川俊太郎さん、寄藤文平さん(文平銀座)のコメント入り用紙がもらえます
全6回のポエメールを終えた感想を、谷川さんと、
アートディレクションを担当してくださった文平銀座さんに
それぞれ、書いていただきました。
感想とポエメールの概要を載せたプリントを、会場内にご用意しています。
ご希望の方は、ぜひお持ちください。

土日祝、年末年始はお休みになります。
どうぞ、お早めにお出かけください。お見逃しなく! (スタッフ)

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「ポエメール」特別展示

会場:株式会社竹尾 見本帖本店2F map
日時:2012年12月12日(水)―2013年1月18日(金)
10時―19時  土日祝/休
※12月28日(金)、1月7日(月)は18時まで
※12月29日―1月6日は年末年始休業

>>「本の贈りもの」展と同時開催
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竹尾見本帖HPはこちら

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内心

内心という言葉はあるけど、外心という言葉はないと思っていたら、広辞苑にあった。中国の古典では〈ふたごころ〉という意味だそうだ。外心は世間に出してもかまわない心、内心は世間に出してはまずい心、というより、外心はお体裁に近く、内心は正直に近い?

ツイッターやブログなど見てると、自分の思ってること考えてることを、不特定の他人に向かって〈発信〉する人が増えている。黙っていてはいけない、声を上げなければ、言葉にしなければという風潮、もちろん民主主義の基本だから悪いことではないけれど、それがときどき姦しいお喋りにしか感じられないのは、内心と外心のせめぎ合いがない発言が多いからではないか、そのせめぎ合いないし矛盾を黙って生きる我慢が足りないからではないか。

自分が言っていることを疑うのは、自信がないこととは違う。自分を批評するのは他人を批評するのより難しい。と、これは自戒。(俊)

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送られてくる郵便物の封の仕方、封の切り方にもいろいろある。アメリカ映画などで無造作にべりっと封筒を破くシーンが出てくるが、見ていて気持ちが荒む。ペーパーナイフを使うのはもう時代遅れになっているのかと思う。私はペーパーナイフ派だが、近頃は鋏や電気仕掛けのレターオープナーを使わざるを得なくなっている。郵便物が多いこともあるが、ペーパーナイフを入れる隙間を残さずに、べったり封をしている郵便物がほとんどだからだ。

何故かペーパーナイフが好きで、我が家には木製、真鍮製、ステンレス製、水牛の角製などいくつかあるのだが、圧巻は黒田辰秋作の〈紙刀〉だ。これはもう芸術品なので、私は見て、触って楽しむだけで封を切るのには使っていない。最近アリス館から出た『すき好きノート』という読者参加型のちょっと変わった本に写真が載っているので、見てもらえると嬉しい。

頁がアンカット(今で言う袋とじ)になっているフランスの文芸書が、父の本棚には何冊もあった。ペーパーナイフはもともとそういう本のためにあったのだろう。頁が切ってないと読んでないことが一目でバレてしまう。今の週刊誌では切ってあると見たことが一目でバレる。(俊)

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