アーカイブ:2012年8月

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机の上で仰向けになって虫がもがいている。羽のある虫だから、起き上がらせてやれば飛べるだろうと思って、紙切れにつかまらせて立たせてやったが、またひっくり返ってしまった。どうやら死期が迫っているらしい。そう思ってもがいているのを見ていると、なんだか切ない気持ちになった。苦しいのなら早く楽にしてやりたいと思うが、虫だって命なのだからうかつに手出しはしたくない。見るのが辛かった激しいもがきかたが、だんだんゆるやかになってきて、動きが止まった、と思うとまた弱々しく縋るように頭を上げ手を動かしている。動かなくなるまで見守るべきだろうか。

翌朝、死んだ虫を見るのを予期していたが、影も形もない。しぶとく生き延びたのだろうか、命は予測できない。(俊)

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教壊

ここ数日、買い物のメモをとるくらいで、なんにも字を書いてない、打ってない。もっぱら手と体を動かして家の中の整理整頓するのが楽しい。でも本は読んでる、何冊か並行して。すると例えばこんな言葉にぶつかる。

「学問とか知恵才覚などというがらくた」
「禅者の言葉に[教壊]というのがある。これは、教育で却って人間が損なわれるの義である」

ぼくのような高卒じゃなく、国際的な仏教哲学者・鈴木大拙の言葉だから重みがある。下駄を作って一生を終えた浅原才市の信仰を論じた本『妙好人』に出てくる。才市にとっての下駄は、ぼくにとっては詩なんだと思いたい。(俊)

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