今週の一篇

いいこだから

まんびきはしたことないけど
わたしはひとのこころをぬすんだ
ぬすんだことにもきづかずに

へやにかぎはかけないけど
わたしはこころにかぎをかける
かぎのありかもわからずに

うそはついていないけど
わたしはほほえんでだまってる
ほんとのきもちをだれにもいわずに

いいこだから わたしはわるいこ

* * * * *

古典とは

見上げれば
空のようにいつもそこに在るもの
踏みしめれば
大地のように支えてくれるもの

文章に作者の声が谺している
文字に人間の歴史がひそんでいる
文体と呼ばれるカラダが
意味というココロとともに
甦る古代から予感の未来へと
繰るページごとに読者をいざなう

源も行方もさだかではない知恵の道を
つまずきながら私たちは歩んでいる
先達が立ててくれた道しるべを
内なる地図に書きこみながら

* * * * *

明星

眼が見せてくれた表情の奥へ
ココロは入って行く そして
かすかな哀しみを発見する
あまりにかすかなので それは
遠い水平線のようだ

眼が見つめる風景の向こうへ
ココロは旅を続ける すると
昼間は見えない星座が見える
あまりに遠くにあるので それは
生まれる前の思い出のようだ

数えきれない世界のカケラを
カメラを黙って拾い集める けれど
夢見る無限のジグソーパズルは
いつまでも完成しないので それは
幼い子どもの遊びのようだ

遥か彼方で瞬く星と
自分のココロで輝く星と
まだ出会わない星々を
見えない線でむすんでゆくと
どんな形が見えてくる?

* * * * *