森の熊とテディベア

森の熊はゆったり歩く
木の間隠れのお日さま浴びて
好きな蜜蜂探して歩く

ショーウインドウのテディベアは
脚はあるけど座ってるだけ
どこへも行かないなにも食べない

森の熊は恋をする
そうしていつか生まれる仔熊
ころころころんできいきい甘える

子ども部屋のテディベアは
なにもしないで待っているだけ
誰かが抱きしめてくれるのを

森の熊は年をとる
はるなつあきふゆ五年十年
脚も弱って目もかすむ

屋根裏のテディベアは年をとらない
ただ擦(す)りきれるだけ綻(ほころ)びるだけ
だんだん値段が高くなるだけ

森の熊は死んでゆく
目をつむり落ち葉の上に横たわり
静かなため息ひとつして

アンティークショップのテディベアは
いつまでたっても目をつむれない
ガラスの目玉に世の中映して

* * * * *