アンダンテ

いきなり胸がいっぱいになった
朝のラッシュの電車
つり革につかまって人にもまれて
嫌なことを忘れたい私
イヤフォンを耳に突っこんで
そこへあの弦楽のアンダンテの
メロディーとハーモニーの
思いがけない不意打ち

心の地下水にさざ波が立った
この感情を哀しみと呼びたくない
哀しみよりもっと深いところにある源から
むしろ快い涙が滲み出て
私は化粧を直すのも忘れていた

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