生き生きと

詩ってむずかしいもんじゃないよ、楽しいもんだよ。とくに声に出して読むとね。でも詩って大きな声で読めばいいっていうもんじゃない。ときにはささやくように読むほうがいいこともある。だからまずはじめは、声に出さずにだまって心の中で読むのがいいかもしれない。そうやって自分がどんなふうに声にしたいかを感じとるんだ。ひとりひとり違った読みかたでいい。読む早さも、ちょうしも、どこに力をいれるかも、まず自分で考える。きれいに読む必要はないんだ。なまりがあるのもおもしろい、まちがえたってかまわない、その詩が好きでありさえすれば。好きじゃない詩は好きじゃないって言っていい。みんなで声を合わせて読むときも、あんまり声がそろうと、へんなふしがついてしまってかえって詩が死んでしまう。詩のことばを自分のことばにして、聞いてる人にたいせつにとどけてほしい。悲しいときも、苦しいときも、元気なときも、気どらずに生き生きと詩を楽しんでほしい。おとなになってからもね。

(初出不明)

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谷川さんがパソコン執筆に移行する前、〈ワープロ時代〉に書かれた原稿。子どもたちに向けて書かれた文章ですが、これはそのまま、非常に具体的・実用的な詩の楽しみかたの提案にもなっています。ぜひお試しを。(スタッフ 川口)

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